19世紀後半から加速した調性の徹底した拡大の流れは、ついに20世紀初頭に「調性の積極的な否定」という思想にたどり着きます。
中心的役割を果たした新ウィーン楽派のシェーンベルク、ヴェーベルン、ベルクの3人は、いずれも弦楽作品を残してくれています。
20世紀前半は、2度の大戦やファシズムの台頭、大恐慌を含む騒乱の時代でした。無調の音楽が見せる厳しく不安げな表情は、当時の世情の投影なのかもしれません。
一方、こうした先鋭的な動きに影響を受けつつも、各国では地域色と近代色が溶け合った魅力的な作品が産み出されていきます。
彼らの多くは、作品のインスピレーションを求める作業の一つとして民謡採集に積極的に取り組みました。そのような作曲家としてバルトーク、ヴォーン・ウィリアムズ、ヤナーチェクなどがいます