19世紀の頭から続いた欧州の安定期は、君主により抑圧されていた主要国の民衆や周辺国が1848年の諸国の革命により暴発することで終わりを告げます。
各国の独立の気運は、民族主義的な作風、すなわち国民楽派を登場させるという形で音楽の世界にも影響をもたらしました。
これら周辺国の作曲家の中にチャイコフスキー、ドヴォルザーク、グリークといった弦楽関係に縁が深い顔ぶれが並びます。
この間比較的国情が安定していたドイツとオーストリアでは、ワーグナー派とブラームス派が「表題音楽か絶対音楽か」といった音楽論争を盛り上げつつ、今に残る多くの名作を産み落としていきます。
また、ワーグナー的な複雑な和声は、作曲技法面で多くの作曲家に影響を与えました。
19世紀末のフランスではドビュッシー等の印象主義的音楽を嚆矢とする近代音楽の黄金期が始まります。