(英語表記題名: Lyric Suite for String Quartet )
ウィーン楽派を代表する名曲の1つで、6楽章からなる弦楽四重奏曲。作者自身による第2、第3、第4楽章を抜粋した弦楽合奏版が後に編まれているほどで、調性の無い響きの中に美しい瞬間がときどき訪れるこの名作を、奏者4人だけで聴衆が楽しめるように弾くことは容易ではない。家庭のある婦人への愛の告白の曲と言われ、この婦人のイニシャルHFと作者自身のイニシャルを組み合わせたABHFの音列が使われたり、トリスタンの旋律が引用されたり、各楽章にamoroso、appasionato、misteriosoといった思わせぶりな言葉が並んだり、と、単なる12音技法使用にとどまらない仕掛けがいろいろある。
作品解説