さて練習である。
ところが、実際に準備をやり始めるとすぐにわかるのだが、練習にたどり着く前に、会場探しが結構な大仕事になることが多い。

なんといっても安いのは公共施設。音楽専用の部屋があれば最高だが、そういう贅沢な設備は都市部に限定されるかもしれない。会議室や和室でも音出しを許してもらえるケースは多いので、ともかく事務の人と折衝しよう。

このときのポイントは「管楽器無し・電気楽器無し・弦のみ」と説明すること。弦楽器は他の楽器に比べると静かであることを知っている人は多いので、管楽器団体には絶対に貸さない部屋を貸してくれる場合がある。使用楽器の種類まで使用規則に書いてあるような施設はあまりない。なにごとも交渉であることを覚えておきたい。

学校関係者がメンバーにいる場合には、休日の学校を借りる交渉もしてみたい。確率は低いが、うまくいけば無料で良い施設を使える可能性がある。その他の公共施設も含め、とにかくなんでもコネを最大限利用して交渉する価値がある。

その際、「年に1回の音楽教室実施」など、地域の文化振興に協力するボランティア団体であることを強調するのはよい戦術だ。演奏披露の場を確保することにもなるし一石二鳥と言えなくもない。ダメもとでいろいろとあたってみよう。

演奏披露と言えば、ひとつの定番が喫茶店や料理店とのコラボだったりするのはご存じの通り。店の客寄せ代わりに演奏会を開かせてもらうパターンだ。さて、それがうまくいったとして、本格的な料理店の場合には必ず開店前の「仕込み」の時間がある。ちゃんと仲良くなれたなら、この仕込みの時間に場所を借りて練習をすることができるかもしれない。

土日の昼からの営業用に土日の朝が仕込みだったりするとありがたいところ。もっとも、普段から足繁く通い、自分たちもその店にたくさん投資をしてあげるような間柄である必要はある。

カラオケルームはvcあたりは入りきらないような狭い部屋が多いが、そのお店の部屋の構造を理解しているなら「アリ」だろう。ほとんどの店は、弦楽器だけなら文句は言わない。ただ、どうしても単価は高くなってしまうのが難点。

そして、メンバーの自宅というのは、最後の手段。演奏する側の家人はよいが、それ以外のご家族や周囲の家々は本当に歓迎してくれているだろうか?よく考えたい。

練習場所の確保は難物だ。それゆえ、弦楽器を趣味とする人の多くにとって、マイホームを買い防音設備つきの音楽室を持つことが夢となり得るのだろう。