ある程度固定のメンバーで合奏を続けるとする。さて、演奏会を目指すか、目指さないか。 あまり考えずに集まることも多いはずだが、これはけっこう議論に値するテーマかもしれない。

演奏会を設定すると、練習の目標ができ、テンションは一時的にせよけっこう高まったりする。惰性を排してちゃんと仕上げようという意識が、演奏的にも良いものをもたらすだろうし、イベントに向け、徐々に活動を盛り上げていくのは、なかなかいいものだ。そして、うまくいってもいかなくても、演奏会後の一杯は格別だ。

その反面、準備はたいへんだし、会場等金銭的な負担もばかにならない。それゆえ、演奏会開催頻度もおのずと限度があり、ひとつの演目を長く練習することにもなりやすい。

一方、演奏会を目指さないパターンとはどのようなものか?
団体を作ったら演奏会はやるもの、という固定観念がある人向けに、一応よけいな説明をしておくと、これは演奏会を義務と考えず、弾き散らかす喜びのほうを重視して運営するものだ。

ひとつの曲の練習は、せいぜい2、3回。飽きたら次の曲にすぐ移る。ハイドンやモーツァルトの弦楽四重奏全曲制覇、といった遊び方もおもしろい。深みの無い演奏にはなるし、極端に難易度の高い曲には取り組むことはできないが、代わりに、多くの名作をつまみ食いできるという喜びがあるわけだ。

個人練習の時間が取れない奏者にとっては、練習の回数をあまり多く重ねても実は意味がなかったりするので、このような合奏遊びも決して否定されるべきものではないものと思う。とにかく、これはこれで非常に楽しい

少しジャンルの違う話だが、管理人の知り合いで、外国勤務中に入ったアマオケが、毎回初見大会だけをやる目的で運営されている団体だった、という人がいる。数か月先まで曲目を事前に公表しておき、申し込み順にパートなども決めるのだそうだ。指揮者は音大生をおそらく無給で使用。事務局や楽譜コピーのためにだけ参加費を払うという運営形態なのだろう。

そこまで徹底していなくても、年1回の演奏会の直前以外は毎回初見大会で楽しんでいます、というようなアンサンブルは国内にも少なくないのではないか。ともかく、ひとつの運営パターンとして立派に成立しているということは、知っておいてよいだろう。

どちらを目指すべきか、決まった人とアンサンブルをやっていこうという際には充分に議論する価値がある話題のように思うが、いかがか?