バロック音楽の特徴であった通奏低音や即興的装飾を前提とした作曲は18世紀の後半から廃れ、また楽器の進歩や市民階級による音楽愛好の拡大を背景に、ポリフォニー色を弱めて主旋律を際立たせたシンプルで表現力の強い音楽、いわゆる古典派の音楽が欧州楽壇の主流となっていきました。
この時代は産業革命のタイミングでもあり、同時に人権といった概念も登場してアメリカ独立やフランス革命につながります。 作曲家は、王侯貴族のお抱えや教会職主体から、徐々に演奏会や楽譜の収入で生計を立てるような人も出てくるようになります。 今の形に近いオーケストラや、指揮者といった職能が定着したのもこの頃です。
こうした転換期に、弦楽四重奏曲、弦楽主体の交響曲、という2つの大きな系譜を確立したのがハイドンであり、さらに、欧州各地のさまざまな様式を消化した上で歌心と構成力のある楽曲を次々に作りクラシック音楽の鋳型ともいうべきスタイルを定着させたのがモーツァルトでした。
そして、絶対音楽の可能性を広げ、ロマン派への架け橋となる重要作を生み出すことになるベートーヴェンの登場をもってこの時代は幕引きとなります。