【編成】弦楽四重奏または弦楽合奏
【収録曲】ブルー・タンゴ、プリンク・プランク・プランク、シンコペーテッドクロック、タイプライター、他
【編曲者】William Zinn
【出版社】CPP/Belwin, Inc.

ルロイ・アンダーソンは米国の軽音楽作曲家、指揮者。活躍したのは1930年代から1950年代で、ボストンポップスとも縁が深い。ジャズやカントリーの香りをうまく取り込んだ気軽な娯楽管弦楽小品の傑作をいくつも残した。

このアレンジ譜は彼の重要作のほとんどを網羅したもの。収録曲の名前を知らなくても、弾けば多くの人にとって耳に覚えのある曲ばかりのはずだ。

編曲は原曲に忠実で、ほとんど芸が無いとも言えるほど。ただ、弦楽四重奏というミニマムな編成ながら原曲の雰囲気をよく伝えている。

これらの原曲では、それぞれに聴衆のウケを狙った仕掛けがある。

例えば「タイプライター」では、タイプライターのカチカチというキー音が絶えず旋律を支え、「サンドペーパ・バレエ」では、サンドペーパーのサカサカ音がリズムを刻む。「シンコペーテッド・クロック」は時計の音をウッドブロックが模し、「プリンク・プランク・プランク」ではコントラバスをぐるりと回す場面がでてくる。

本アレンジ譜上にそうした指示は無いし、弦楽四重奏編成では色物楽器に手を出す人的余裕があるはずもないのだが、打楽器奏者を別に1人用意して耳コピーでそうした小道具を担当させても楽しいかもしれない。

編曲者は素人くさいアレンジで悪名高きウィリアム・ジン。

ルロイ・アンダーソンの原曲がもともと弦楽主体で非常に効率良く書かれていることもあって、この楽譜ではあまり馬脚を現してはいないが、それでもミスプリがあったり原曲に忠実すぎて演奏至難な重音を書いたり、と、いつもの通り少しがっかりさせてくれる。

(→SheetMusicPlus