(※以下の記事は2014年のものです。)

「現在アマチュアの弦楽団体ではどのような合奏曲が弾かれているのだろうか」 ~ そんな少しベタな発想で粗雑な調査を行ってから7年。時が経つのは早い。ここにあらためて、ウェブ上で非科学的方法により抽出した全国20数団体の2009年~2014年における延べ約100回の演奏会の記録から抽出した選曲傾向を紹介することとしたい。さて、2010年代に入って変化はあったのだろうか?

ベスト10の順位は以下の通りとなった。
(以下左から、順位 回数 作曲者 楽曲)

第1位 15 レスピーギ リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲
第2位 14 チャイコフスキー 弦楽セレナード
第3位 11 モーツァルト ディヴェルティメントK.138
第4位 10 グリーク 組曲「ホルベアの時代から」
第5位 9 モーツァルト ディヴェルティメントK.136
第6位 8 バッハ ブランデンブルク協奏曲第3番
同上 8 ドヴォルザーク 弦楽セレナーデ
同上 8 ウォーロック カプリオール組曲
第9位 7 エルガー 弦楽セレナード
同上 7 シベリウス アンダンテ・フェスティボ
同上 7 ヴィヴァルディ 「春」
同上 7 ヴィヴァルディ「冬」

前回調査で1位に輝いたブリテンのシンプルシンフォニーは、2013年がブリテン生誕100年というイベント時期だったにもかかわらず、まさかのベストテン圏外に。代わって今回は安定した需要があるレスピーギがトップとなった。イベントという意味では他にコレッリが2013年に没後300年を迎えているが、演奏曲の分散が災いしてか上位にはこなかったのも興味深い。

注目は第6位のカプリオール組曲。以前はあまり一般に存在が知られていなかった作品だが、適度な演奏時間と難易度、親しみやすさから考えると、手軽に多用される「鉄板」枠としてのブリテンを追い落として定着してきたものと見てよさそうだ。

方、7年前の記事では「2大セレナード対決」と書いたチャイコフスキーとドヴォルザークの両作品。今回は大きく差がついたが、よく見るとエルガーの弦楽セレナードとドヴォルザークはほぼ同数。大有名曲主義的な取り上げ方そのものが古い発想であることを教えてくれる数字だ。


第11位以下には、次のような曲目が並んだ。

6 ヴィヴァルディ「夏」
6 ブリテン シンプルシンフォニーOp.4
6 モーツァルト セレナーデ第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
5 ホルスト セントポール組曲
5 ホルスト ブルックグリーン組曲
5 芥川也寸志 トリプティーク

ブルックグリーン組曲の人気ジリ上がり、というところか。


備考

・対象団体の抽出は、検索エンジンの上位ヒット、記録の採り易さ等を元に、有名団体、小団体をバランスさせたもので、あくまでも非科学的、恣意的な方法による。
・2009年~2014年の5年間の演奏会記録を対象。
・ただし、臨時小編成での室内楽演奏、内々での小規模演奏会、などは集計外とした。